COVID-19の帝王切開
日本産婦人科学会等 新型コロナウイルス感染症への対応 ~周術期医療を中心に~ 2021年12月
・現時点で COVID-19 感染のみで帝王切開の適応にすべきとする根拠はありません。
しかし、施設の感染対策に割くことができる医療資源、肺炎など妊婦さんの全身状態
に鑑みて、分娩管理時間の短縮を目的として帝王切開を施行している施設は多く、一
方で人材や環境の確保などが得られる施設であれば、経腟分娩も選択肢となり得ま
す。妊婦さんと医療スタッフの安心安全を第一にご判断ください。
帝王切開が選択された場合・・・
いつ帝王切開をするかについて
日本麻酔科学会 COVID-19感染既往患者の待機手術再開時期にかんする提言 2021年9月更新
1) COVID-19 感染後の手術時期は下記の項目を総合的に考慮し判断することを推奨する。
⚫ COVID-19 感染時の重症度
⚫ COVID-19 関連の症状が持続しているかどうか
⚫ COVID-19 感染前および感染後の併存疾患と重症度、全身状態
⚫ 手術適応となっている疾患の進行、緊急性
⚫ 手術の複雑さ、侵襲度
2)院内感染予防の観点から、COVID-19 感染時の重症度が軽症〜中等症患者では発症後 10 日間、重症感染患者では 15〜20 日間は手術を行わないことを推奨する。
3)待機可能な手術は COVID-19 感染診断から 7 週以降に予定することを推奨する。その時点でCOVID-19 関連症状が継続している場合には、手術の至適時期と手術リスクについて慎重に考慮する。
麻酔方法の選択について
日本麻酔科学会 新型コロナウイルス感染症陽性患者(疑いを含む)の帝王切開術の麻酔管理に関する提言 2020年6月
第一選択は区域麻酔
ただし、以下のような場合は、全身麻酔を考慮する。
・強い咳嗽が継続している場合。体動により手術が妨げられる可能性や手術室内環境への影響を及ぼす可能性があるため。
・術前に不安が強く術中に頻回の会話を要する場合。
・患者が呼吸不全を呈している、あるいは呼吸状態の変化が予想される場合。
母体と児の安全・医療者への感染予防を踏まえて麻酔計画を立てる必要がある。
また、麻酔の方法自体の施行が可能であるか・その麻酔で手術が完遂できるかどうか。
区域麻酔
利点
・エアロゾル発生を減らせる。
・気管挿管不能に伴うトラブルを回避できる。
欠点
・咳嗽による手術手技への影響
全身麻酔
利点
・安定した呼吸管理と不動
欠点
・エアロゾル発生
・妊婦は挿管手技が難しい
全身麻酔を選択した場合
日本麻酔科学会 新型コロナウイルス感染症患者の麻酔管理、気管挿管について 2020年3月
ポイント1:十分な筋弛緩を得る。咳嗽反射を誘発しない。
ポイント2:肺炎併発などで低酸素血症を来す場合は、マスク換気を行う。
ポイント3:マスク換気の際、呼気が空気中に漏れないように注意する。
8)手術中呼吸管理
・一回換気量 6-8ml/kg 程度で維持する。
・術中のバッキングを避けるため、十分な筋弛緩状態とする。
・酸素化障害(PF 比 200 以下)が進行する場合は、PEEP を増加させ高炭酸ガス血症は許容する。
9)麻酔の覚醒・抜管時の注意点
・酸素化障害(PF 比 200 以下)が進行する場合は、術後人工呼吸管理継続を考慮する。
・麻酔科医が通常行っている覚醒・抜管手順でよいが、咳嗽反射を最小限とする工夫を行う。
・不必要な気管内吸引は実施しない。
・口腔内吸引は、深麻酔下に十分行う。
・平圧抜管(コネクターは外さずに、回路内を大気圧とする)を考える。
・加圧抜管はウィルスの混入したエアロゾル発生のリスクが高いという認識を持つ。
・抜管後は、患者に外科用マスクを装着し、その上から酸素マスクを装着する。
・抜管後の回路、特に人工鼻より患者側の器具、および口腔内吸引器具は、密閉可能な袋に入れ
てから廃棄ボックスに入れるなど、各施設の感染制御手順に従って処理を行う
新生児の管理
日本新生児成育医学会 新型コロナウイルス感染症に対する出生後早期の新生児への対応について 2020年10月改定
・胎盤を介した感染は稀。
・感染した新生児は、ほとんどは無症状化か軽症。一部、重症化した報告がある。
・新型コロナウイルス陽性母体と新生児の接触は、母体の隔離期間終了後となる。
→ Lisa : 手術室の外に保育器を待機させて、娩出されたら新生児をすぐに保育器に収容し、別室に移動させる。つまり、陰圧室を2つ用意する。
・新生児の陰性確認のための検査は、出生直後は陰性でもその後に陽性となる報告があり[25]、生後24 時間以内と48 時間以降の2 回検査をする [23,24]。事情がある場合には
24-48 時間の検査1回だけでも許容される [23]。PCR またはLAMP などの核酸増
幅検査を用い、鼻咽頭ぬぐい液が推奨される。
・帝王切開でも経腟分娩でも、現状では新生児は曝露者として扱う必要があります。
・新型コロナウイルス陽性の母親の母乳を介した感染の危険は極めて低いと考えられる。母乳栄養を一律に中止すべきというエビデンスはない。
術後の母体管理
国際血栓止血学会では、COVID-19感染者は原則すべての患者に対して低分子ヘパリンの投与を推奨している。
その他の勘案事項
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