下行置換術(胸腹部感染瘤)
症例
AAA術後の感染。腹部だけで済むか、胸腹部となるか画像上では判断が困難なため、胸腹部のセットアップの上、開腹で開始する予定となった。
ポイント
出血への対応ができるように、Volume Lines, 輸血のオーダーをしっかりしておくこと。
準備
導入薬
昇圧剤、降圧剤、ヘパリン、プロタミン、抗生剤、トラネキサム酸
部分体外循環では呼吸を継続するため、維持中の鎮静薬は吸入麻酔薬で構わない。
手順
✴︎今回は、腹部大動脈置換術から胸腹部へ移行した手術であったため、変則的な術式となっている。
普通に導入。
分離肺換気ができるようにダブルルーメンチューブを挿入。
A-line1本、CV、Volume Lines (VathCathやシースを考慮する)
右側臥位で下半身は正面の体位を取る。
手術開始
腹部大血管の剥離
ヘパリン化
下2箇所次に上をクランプ (この時に血圧を100未満に。)
大動脈瘤切開
上まで感染が広がっていたので、この時点で、人工心肺を組み始める。
ACT>480secとなるようにヘパリン追加投与。
TEE挿入
FVより脱血管挿入
開胸しより中枢側にクランプ位置を変更。この際、出血するが、脱血管から送血してもらい、Volume負荷。(リサーキュレーション回路) 今回は分離肺換気は必要なかった。
安定したところで、脳分離回路を用いて、腹部分枝を送血、FV&サッカー脱血で、CPBスタート。(足の循環はなし。腹部循環のみCPB。上半身は自己心拍。)
・脳分離回路はローラーポンプ。当施設では遠心ポンプとローラーポンプが直列つなぎとなっている。
・Flowは腹部循環分だけで少ないため、CPBのモニタ画面のHb等の数値は当てにならない。
・Flowは少ないが、Volume持っていかれるため、しっかりと輸血等準備しておく。
・上半身は自己心拍出で循環されているので、麻酔科側でも血ガス要チェック!
両側CIAとY字グラフトを縫合。
FAに送血管挿入。足にA-lineを入れなかったので、足の灌流圧は不明だが、送血圧から回路の圧力損失を引くことで、おおよその灌流圧を推定する。
Y字グラフトの中枢側をクランプしておき、FA送血、FV脱血の普通のFFでCPBを回す。ここで、足の血流が再開する。
・この時に、リザーバーボリュームを持っていかれるので、事前に輸血準備をしっかりとしておく。
・FFは遠心ポンプで、腹部血流は脳分離回路のローラーポンプ
中枢側と腹部分枝を人工血管と吻合。
最後に人工血管ー人工血管吻合。
全てデクランプして、追加縫合がなければ、CPB終了する。
AAAではここからあまり出血はないが、胸腹部では吻合箇所が多いので、ここからが麻酔科は出血との戦いになる。しっかりと輸血等準備しておく。
プロタミン投与。
プロタミンが効くまで押さえているため、出血がないように見えるが、再度縫合部位の確認を始めるので、その時にどの位出ているかをチェックする。
今回はTEEを挿入したので、心臓の内腔の大きさを見ることもVolumeが足りていないことの指標となった。
止血が得られれば終了。
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